第13回「開け!放送室の重き扉」
- 2015/04/12
- 07:37

前回までのあらすじ
90年代初頭、広島県呉市の小さな小学校。
先生に怒られるためだけに、悪夢の放送室へ向かい一行。
戸を開けようとした瞬間、突然と逃げ出すスミオ…。
その真意とは…。
--------------▼以下、本文--------------
「わりゃ!逃げるなや」
驚いて全員がスミオの後を追いかけた。
息を切らせながらケンが言った。
「なんで土壇場で逃げるんな?」
一行は全員、トイレの中で逃亡犯に追いついた。
「戸を開けた者だけが怒られりゃーええのよ」
息を切らせながらニカニカ笑って、スミオが言った。
「なんちゅう事を言うんな!わしだけが怒られるじゃなーか」
この時はまだ、全員笑えるだけの余裕があった。
ただ、スミオは時々こういうシャレにならない冗談を実行する。
少しのブレイクがあり、
気を取り直した一向が再び放送室へ向おうとした時、ケンが言った。
「もうわしは放送室の戸を開ける役は嫌じゃ!」
「ジャンケンで決めんかい。」
「ジャンケンポン!」
ケンがパー。他の全員がチョキだ。
結果、やはりケンとなったと思ったら、
「3回勝負じゃ!」
と、ケンは言い始めた。
両腕で万華鏡を作り、何を出せば勝てるかを確認し、
「ジャンケンポイ!」
ケンがチョキで、他の全員がグーだった。
結局、2回のジャンケンを行ったが、ケンが負けた。
「うわ~。ブチたいぎ~」
「じゃあ誰か、スミオが逃げんようにしてくれや!」
「じゃあ、わしが押さえちょくで!」
その役を買って出たのはシキさんだ!
彼がスミオを取り押さえた状態で一行は放送室に向かった。
放送室へ向かう間も、ケンが振り返る度に何度もシキさんは言った。
「心配せんでも、ちゃんと持っちょるで~。」
ケンはまたスミオがスルっと逃げ出しやしないかが心配だった。
シキさんに抑えられている間も、
エルボーや股間に振れるなどあらゆる手段を使っては、
スミオはなんとか羽交い締めを解こうとしていたが、
シキさんは学年でも最大級の体格の持ち主なので、
技を解く事も、そう簡単ではなかった。
いろいろと話は脱線したが、一行は再び放送室の前についた。
「開けるで~」
とケンが皆に確認をしながら重い扉を開いた。
【次回へ続く】・・・もう少々お待ち下さい。。
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