第12回「放送室までの長き道のり!」
- 2013/12/13
- 10:50

前回までのあらすじ
90年代初頭、広島県呉市の小さな小学校。
放送室からおバカな音声を放送するも、
ノギマ先生の追撃放送が校内に鳴り響く。
命を懸けて守るモノ…。
それは友か、それとも…。
--------------▼以下、本文--------------
「イッシャンが捕まっとるみたいじゃの~」
「ほっときゃええわい!(ほっとけばいいよ!)」
「でも、なんか楽しそうじゃったの~」
「あの性格じゃけん気楽なもんよ」
「で、どうするよ?」
「行くしかなーじゃろ?」
「は??」
「わしゃ行かんで、何も声出してないし、そこに、おっただけじゃけ!(居ただけだし)」
「うわっ出た!それも傍観罪じゃって」
「みんなで怒られりゃ、こわーないわいや。(恐くないよ!)」
「わしなんか、名前が出とるんど」
・
・
・
・・・・ETC
などなどの会話があり、
一行は怒られるためだけに、
エッチラエッチラ決戦の放送室へと向かった。
一度は無事教室へと生還し、
今頃は普通に給食を食べていたかと思うと、皆の足取りが重い。
放送室のある2階の床を踏みしめる頃、
一行は保健室の美奈子先生とすれ違った。
「君ら、行くん?(行くの?)」
マニキュアを塗った細い爪が放送室を指した。
一行は思わずツバを飲んだ。
その後、美奈子先生はこう続けた。
「友達を見捨てんのじゃ、偉いね~★(見捨てないんだ、偉いね)」
僕らの行動など完全にが見透かされているのだ。
放送室までの長い道のりを終える、あと数メートルという所でタツヤが言った。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってから行くけん先に行っちょってや!」
トイレに入ろうとしたタツヤの腕を、ケンが捕まえた。
「いやいやいや、うまいって。」
「そうは問屋がおろさんでよ。もともとあんたのアイディアじゃ。」
「ええー!行きたくないなー。」
「本来、あんた一人が放送室行ってもらうトコなんで!」
「ほうよ!」
「タツヤが一人で行きゃ~ええわ。」
「まあ、そりゃ酷じゃろうけん、みんな来てくれとるのよ!感謝せにゃ!」
「あんたは、名前があがっとるじゃん!」
「このままイッシャンを見捨てる選択肢もある!」
「うわ~最低じゃん!」
「わーりゃ、ここまで来たんじゃ。はー逃れられんのじゃけん、腹くくれや」
「はい、行くで!」
そんな話をしながら、おそるおそる放送室の戸にケンが振れた。
「じゃあ開けるで?」
その戸を開けようとしたその瞬間…
な、なんと、ケンの背中を押し、スミオが猛ダッシュで走りさった!
【次回へ続く】
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