第7回「トイレの天才漫画家」

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回までのあらすじ

90年代初期、広島県呉市の小さな小学校。

全校生徒の前で味わった最大の屈辱。
そんなモノ、とうに忘れ果てたタツヤ達。

翌日の休憩時間、秘密の花園を堪能していたケンだが、
諸事情により急遽トイレへ。

トイレの奥から聞こえる謎の声の主とは??

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初にことわっておくが、この物語は怪談ではない。

だから、「トイレの花子さん」とかそういうものではないと思う。

どうやら確実に人の気配であると感じたケンは

普通に「大」の個室を覗き込んだ。

「流れるがいい、流れつく所まで流れるがいい!」

そう呟きながら、トイレの壁に漫画を描いていたのは、バボだった。

「おー!バボ。こんなトコでなんしょんな?(何してんだ?)」

「ん?」

「あー。今、大の大冒険いう漫画を書きょーるんよ!」

無論、かの「ドラゴンクエスト~ダイの大冒険~」ではない。

しかし、「大」の個室に「うんち」を主人公にした冒険活劇を書くとは、

さすが天才少年だとケンは関心しながらも忠告した。

「まーた、みんなで掃除させられるで~!」

あれは確か4年生の時だった。

町中に描かれたバボの漫画(落書き)を消すために、

バケツと雑巾を持ってクラス全員で清掃活動を行った事がある。


町中とは大げさなので、せめて学校中だろうか?

記憶は定かでないが、仁方小学校横の川沿いにある白いガードレール。

あそこに青いマジックで書かれた天才画家の作品を

先生に雑巾で拭かされた記憶がかすかにある。※作者の夢かも?

しかし、ケン達にとっては、それで半日授業がつぶれてくれたので

まんざら悪い思い出でもないのだ。

彼も彼なりに右向け右の巨大勢力「学校」と戦っている同志なのだ。

そう思うと彼の行為に決して敵意は覚えなかった。

下手とも上手ともとれないある意味芸術的な漫画と、

それを描くバボの指先を眺めながら、ケンは昨日の事を思い出した。

「あっ、そういえば昨日笑いよーたじゃろ?(笑ってただろ?)」

「ん?」

「先生サヨナラの会よ、ぶち笑いをこらえよーたじゃろ?(笑いをこらえてたでしょ?)」

「あーあー、あれね。」

「何があげに可笑しかったんね?(何があんなに可笑しかったの?)」

そうケンは、昨日の事件の核心に迫った。
【次回へ続く】


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