第6回「教室は秘密の花園」
- 2013/06/26
- 15:26

前回までのあらすじ
全校生徒の前で味わった最大の屈辱。
そんなモノ、とうに忘れ果てたタツヤ達。
翌日の休憩時間、教室で過ごすケンの秘密とは?
少し話は脱線しながら、例の謎に迫るのか否か。
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元気のいい男子達が運動場へ飛び出し、彼らが不在の教室。
そこはまさに秘密の花園だった。
「あやとり」や「おしゃべり」に夢中な女子達に混ざり
最近のテレビや流行について語る。
何よりもお目当ては大好きな「サキちゃん」だ。
他の子達には、正直申し訳ないけれど彼女は一人群を抜いていた。
色白に黒い髪、その瞳は、マスカラを塗ったかのような長いまつ毛に彩られ、
二重ながらも切れ長、ふっくらしたほほには、天然の頬紅が施されており、
小学生とは思えないその色気は、数々の男子を虜にしていた。
(※あくまでケン談)
毎日のように、選手達に過酷な練習を課す仁方G。
担任であったキシモト先生は、容赦なく宿題を出す人だったので、
ケンは「練習と宿題」という地獄のような毎日を強いられていた。
監督や先生には「くそ味噌」に言われ、
例え他にいい事なんて何もなくたって、ケンは頑張れた。
なぜなら、そこに「サキちゃん」がいたからだ。
しかし、そんな至福の時にも必ず邪魔は入るものだ。
3組のメンチカツことオオギタ君は
男子が女子と会話する事を「たらし」と呼んだ。
彼もインドア派で「大休憩」は学校内で過ごし、
何かネタとなる「他人の弱み」を探しては廊下を徘徊していた。
そんな彼にとって「ケンの女たらし」は非常にネタとなる。
「おー!またアイツが女をたらしょーるで~(たらしてるぞ)」
向こうでそんな嫌な声が聞こえ、メンチカツの顔が見えた。
別に奴だけに言われるのなら全く怖くなどない、
しかしメンチカツの真の恐ろしさは、
その巧みな話術と情報収集力、そして決して自分は一人にならないための
天才的な立ち回りにあったのだ。
ケンとメンチカツが本気で喧嘩をすれば結果は違うかも知れない。
しかし、いかにも相手が悪者かのように
先生や回りの生徒に演出する術に長けている彼は決して一人にはならない。
故に彼と争う事はとても恐ろしいのだ。
そんな苦い過去からかケンは一度間を取りトイレへと向う事にした。
「大休憩」の男子トイレというのは、何と静かな場所なのだろう。
遠くでタツヤ達がサッカーをする声が聞こえる。
心地よい風は、開け放たれた窓からトイレの中に吹いていた。
トイレの中のはずなのに、春の香りがした。※ケン談
そそくさと小便を済ませ洗面所へ向かおうとしたケンなのだが、
男子トイレの奥にある「大」の個室から、
無気味な声が聞こえてくるのに気付いた。
何者かが何かをブツブツ言っているようにも聞こえる。
「何の音じゃろう?(だろうか??)」
そうケンは大の個室に近づいて行く…。
【次回へ続く】
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