第5回「それぞれの大休憩」

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回までのあらすじ
絶対に笑ってはいけない「先生サヨナラの会」で、
必死に笑いをこらえていた人物バボ。

それを見て思わず笑ってしまったタツヤとケン。

一体、なぜ彼は笑いをこらえていたのか??

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朝の辛い出来事はさておき、

小さな事にクヨクヨしない事が僕らの真骨頂だ。


1時間目と2時間目は、確か算数と国語の授業だったと思う。

しかし僕らは先生に見つからぬよう独自の授業を展開していたため、

正直、内容を全く覚えていないのだ。

ベートーベン、ブラームス、チャイコフスキー、ヘンデル…。

音楽の教科書に登場する著名な作曲家達。

彼らにヒゲ、鼻毛、サングラス、アフロヘアなど、

自由自在な装飾を施し、互いに作品を見せ合う。

一番面白い装飾を施した奴が正真証明のチャンピオンとなる。

この授業は他のクラスでも盛んに行われており、

テストで満点を取る事よりも遙かに命をかけているバカもいた。

偉大な音楽家達がことごとく彼らの餌食となっていく中、

一組のイッシャンことイシモリ君の教科書は、

あまりにも装飾がひどく、授業を受けるに耐え難いと判断され、

新しい教科書を買わされてしまったらしい。


そんな彼こそ真のチャンピオンだと、皆は称えた。



2時間目と3時間目の間には、

「大休憩」と呼ばれる三十分ほどの長い休憩時間があった。

グラウンドでドッジボールやサッカーをする男子、

教室で「あやとり」や「おしゃべり」をする女子など、

その過ごし方は生徒それぞれだった。

定められた一日のプログラムの中で、

給食時間とライバル関係にあるほど、生徒達はこの「大休憩」を重要視した。



タツヤ達はこの「大休憩」を告げるチャイムが鳴ると、

水を得た魚のように飛び上り、クラスの男子達と共にグラウンドへ走りさった。

ところがケンはいつも教室に残ったままである。

なぜなら、彼は「仁方G」と呼ばれる町のソフトボールチームに所属し、

放課後の運動場でトコトンしごかれる事を思うと、

貴重な休憩時間をボール遊びなどに費やす気にはなれなかった。

と言うのは建前で、実はケンには別の楽しみがあった。

ムフフフフフ。それはね。
【次回へ続く】



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